CJ Insights

特別インタビュー企画「CIO × CEO」第二弾 4P’s Holdings(4P’s)創業者 益子陽介さん・高杉早苗さん

2023/06/21 投資先情報

賴髙CIOが投資先CEOにインタビューする特別企画「CIO ×(meets) CEO」の第二弾は、4P’s Holdings(4P’s)創業者の益子陽介さんと高杉早苗さんです。

4P’s は 2011 年に設立され、ベトナムとカンボジアで和とイタリアンを融合させたレストランを現在 28 店舗運営しています。”Earth-to-People”のコンセプトの下、ヘルシー&オーガニックにこだわった食材や日本食材を採用し、”Omotenashi”をコアバリューに定めた日本流の丁寧な接客サービスにより、“ジャパニーズピザレストラン”として高い顧客評価を得ており、Vietnam Restaurant & Bar Awards 2022も受賞しています。また、環境に配慮した原料の調達、廃棄物のリサイクル、従業員の働きがいやダイバーシティなどにも配慮し、SDGs も重視した経営を行っています。
海外需要開拓支援機構(CJF)は2022年、日本の文化的価値の発信とベトナムを中心とした海外展開における日本の食材生産者の基盤作りに貢献するとともに、環境配慮型レストランの経営支援を通して、 ESG 投資を実践し、アジア地域における SDGs の浸透に貢献する同社の株式を取得いたしました。
現在は従業員2800人をかかえ、今年8月のインド出店、11月の東京出店に向けて日々奮闘を続けている創業者でCEOの益子陽介さんとDeputy-CEOの高杉早苗さんご夫妻にインタビューし、4P’sのビジョン、今後の事業展開やチャレンジについてお話をお聞きしました。(※内容は2023年6月現在、敬称略)

—-プロフィール———————————————–
益子 陽介
法政大学卒業後、商社を経てサイバーエージェントにてVC業務に従事。その後、同社投資育成事業部ベトナム代表としてベトナム赴任。東京にて自宅の庭にピザ窯を作ったことを機に、ピザ窯を囲み人が繋がっていくことに魅力を感じていたことから、ベトナム ホーチミンに4P’sを創業。

高杉 早苗
慶応義塾大学卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理店事業、メディア広告企画を経て、飲食業は未経験ながらベトナム ホーチミンにて4P’sを共同創業。起業当初は店長からスタートし、事業全体を統括。二児の母。高杉晋作の末裔でもある。
——————————————————————-


作るのも食べるのも共有体験ができるのがピザの魅力で、そこに人と人とが繋がっていく

賴髙
まずお二人から起業のきっかけ、その時の思いをお聞かせいただけますでしょうか。

益子
20代から起業したいと考えていました。自分がやりたいことをやりたいようにやりたいと。最初のきっかけになったのは、高校時代のラグビー海外遠征で、「井の中の蛙大海を知らず」という自分に気づかされたことです。その後大学時代も、サイバーエージェントに入社する際も、海外への気持ちは薄れることなく、起業するなら海外で挑戦したいとずっと考えていました。そしてサイバー時代に海外事業に挑戦する機会があり、真っ先に手を上げたことが直接的なきっかけになりました。
それを機に沢山のビジネスアイデアを考えた中で、一番情熱を持ってできること、最もしっくり来たのがピザでした。
では何故ピザなのか、ですが、それまでの僕は、メンタル的に辛い時期もあり、人の幸せについて考え、悩み、葛藤していました。ある時友人から「ピザ窯作ってみて」と言われた一言が、人生の転機のきっかけになりました。自宅の庭にピザ窯を作り、毎週のようにピザパーティを開くと、来てくれた人たちがみんな喜んでくれました。誰かのために作ったピザ窯、それを使ってピザを作り、参加してくれた方が喜んでくれたという体験は、僕にとって大きな力になりました。初めて幸せとは、自分の見つけかた次第でいつでも感じられるものだと思いました。そこから、小さな気持ちや心構えで、世の中を変えられるかもしれない、そして、まずは目の前にいる人にその幸せを伝えていこうという想いから、4P’sを起業しました。

早苗
益子が先にベトナム事業の立ち上げで現地に駐在していました。私は1人目の子どもの出産後、ベトナムについて行きました。彼の起業への思いはずっと聞いていましたが、生涯をかけて一緒にやっていくことは、とても大きな決断でした。私にとっては彼がワクワクできることが大切で、そのための壁打ち相手になりました。原体験のピザパーティには私も何度か参加していたので、ピザを通じて人が繋がることの楽しさは実感していました。二人が楽しみながらコミットできるとしたら飲食業で、4P’sを立ち上げました。

益子
ピザの魅力に取りつかれたようなものです。人種、年齢、性別を問わずに楽しめて、出来上がるまで火しか使わないプリミティブさ、作るのも食べるのも共有体験ができるのがピザの本質的要素で、そこに人と人とが繋がっていく面白さがあります。食材との繋がり、肌触り、目でみて感じるものなど、ピザは食べ物でありながら、エンターテイメント性を持っているのが魅力だと感じています。

賴髙
1号店を立ち上げる時には、どんなことに苦労されたのでしょうか。

益子
5階建ての建物を借りて、 1・2階がレストランで、3階にピザ職人、4階にチーズ職人が住んでいて、5階の6畳くらいの部屋に僕ら家族が住んでいました。レストランの営業が終わってから、上まで行く体力が残っていなくて、階段の途中で寝ていたこともありました。

早苗
私は手伝うくらいのつもりで行ったのですが、蓋を開けたら店長、お店のすべてをいきなり任されることになりました。ハンバーガー店のバイト経験のみ、サイバー時代もほとんどマネジメント経験がなく、初めての飲食業でいきなり店長です!何の経験もないまま、言葉も文化も違うベトナムの子たちを採用して、トレーニングして、お店のオペレーションを任されて、とても大変でした。


賴髙
SDGsへのこだわり、Earth to Tableというコンセプトに至ったきっかけは何かあるのでしょうか。

益子
4P’sの立ち上げからSDGsは掲げていましたが、最初の5年はビジネスを成立させるのが精一杯で、SDGs事業に着手する余裕はありませんでした。4P’sとしてSDGsの取り組みを本格的に前に進められるようになったのは、カンボジアでチーズ工房を手伝ってくれていた方をサステナブルマネージャーとして採用できたことがきっかけです。彼の興味と推進力のおかげで4P’sのSDGsが進んでいくようになりました。

賴髙
飲食という業態でSDGsにチャレンジし、数字で可視化しながら取り組みを進化させている姿勢が素晴らしいと思います。一方でどの辺りが最もチャレンジグなのでしょうか。

益子
コストと事業性のバランスです。いくらでもお金をかけられるなら、すべてをサステナブルなものに変えることも可能です。レストランの外装やインテリアの素材、食材もオペレーションも全てに関わりますので、コストが最も大きな課題です。売値を倍にはできないので、事業性のバランスの中で、できることを少しずつ増やしていきたいと思います。廃棄物を出さないコンセプトのZero Waste Concept店舗はカンボジアで2店舗、ベトナムで1店舗ですが、これからSDGsの理解を広めていく地道な努力が必要です。

(レストランを支えるスタッフのみんなと益子さん)

ビジョン達成までは愚直に、粘り強く、根性で、諦めずに軌道修正をし続ける

賴髙
4P’sが成功した要因はどんなことでしょうか。

益子
2011年に始めたタイミング、その時に集まってきてくれたメンバー、選んだもの、食材や場所など、人とものとタイミングが絶妙に合って、見事にワークしたという印象です。

早苗
まだ成功しているとは言えないと思っています。でも多少うまく行っているとすれば、諦めなかっただけだと思います。自分たちのビジョンが達成できるまでは愚直に、粘り強く、根性で、諦めずに、ずっと軌道修正をし続けています。チーム全体で、成功するまで成功させる、という感じです。

益子
全力で歩伏前進しているとよく言っています。

早苗
全速で歩伏前進です。(笑)

賴髙
お二人にとってその根性を支えているものは何でしょうか。

益子
ビジョンとミッションが非常に重要です。もしこのビジネスをやめても、多分同じビジョンで別のことをやるだけです。


賴髙
御社のビジョンとミッションをご紹介ください。

早苗
ビジョンは「Make the world smile for peace.」「for peace」は、世界の平和でもあり、心の平穏でもあります。人の心の平穏から笑顔が溢れて、世界にも笑顔が溢れる、そんな世界を作っていきたいという思いです。
ビジョンを達成するためのミッションは、「Delivering WOW, Sharing Happiness」です。ポジティブなサプライズをきっかけに、前向きな感動とともに幸せを感じ、その幸せを周りにも広げていくというミッションです。
ミッションをレストランでも、社員に対しても実践していくと、そこからコミュニティに波及していきます。私たちのレストランやプロダクトはただのお店や食事ではなくて、ビジョンとミッションを世界に広げていくハブだと思っています。
会社の価値観は「4P’sバリュー」と呼んでいて、4つのコアバリューを設定しています。
1)Compassion、2)Authenticity、3)Omotenashi、4)Kaizenです。日本人ファウンダーとして、Omotenashi(おもてなし)とKaizen(改善)をコアバリューに入れました。ジャパニーズ・ピザと言っていただくことがありますが、メニューだけでなく、サービスや心構えでも、日系企業の良さを伝えたいと思い、OmotenashiとKaizenというフィロソフィーを大切にしています。

益子
お客様から支持をいただいた理由としては、日本人の日本料理にブランド価値があるように、日本人のジャパニーズ・ピザというカテゴライズがうまくいったのかもしれません。この特徴をこれからも生かしていきたいと思います。

(インドの出店予定地)

インド全土でも一番美味しいピザレストランになれるという自信

賴髙
今後の事業展開についてお話をきかせてください。4P’sあるいはお二人にとって、インドは大きなチャレンジだと思いますが、インド市場に感じる可能性と難しさについてお聞かせください。

益子
5年~10年後のマーケットポテンシャルでいうと、おそらくインドは世界一の国になると考えています。それだけでなく、今後世界展開を目指していくとき、ピザに欠かせない小麦粉やチーズの生産地としても最適に機能する場所でもあります。
加えて、更なる海外進出を実現するために、世界が注目するインドは情報の発信地としてもとても魅力的です。
インドは西洋と東洋が混じり合っているので、西洋的なマテリアリズムと東洋思想的な精神世界の中間点にいます。東洋思想の我々が西洋的な文脈で、情報を発信するのに適している場所だと考えていました。 欧米からの注目度や投資を見ても、インドで成功する=グローバル企業になる、というステージに来ていると感じます。

賴髙
インドでは既にピザが普及していますし、ピザに対する嗜好の深みや厳しさがあると聞いています。 その中でどういうふうに成功する勝算をお持ちなのでしょうか。

益子
インドではバーにもピザがあり、ピザの浸透率は世界一高い国です。それでも、僕たちのピザがインドで一番美味しいと思ってくれる人は、少なくとも10人中2人くらいはいると思います。インド全土でも一番美味しいピザレストランになれるという自信は持っています。凄まじい競争市場ですが、十分な競争力はあると考えています。

早苗
実際にインドに住み、インドのサービスに触れてみて、インドでは仕事の分業化が進んでいるため、その反面エンドユーザーにまで気持ちを届けることが難しいのかなと感じることがあります。インドの店舗でも、経営者も現場で働く店員も同じビジョンを共有して、最終的なプロダクトをサーブするところまで、プライドを持ってコミットする一体感が要になると思います。目の前のお客さんに笑顔になってほしくて、美味しいもの届けたくて、食体験を思い出にしてほしいという同じ気持ちを持ったチームが作れたら、ベトナムでもできたように、インドでも4P’sの文化を伝えられると思います。

益子
4P’sのコアバリューにはOmotenashiとKaizenがあります。日本的なマインドをもって、目の前のお客さんを喜ばせ、おもてなしをすることをカルチャーとして徹底してきました。 今後インドが経済的にも大いに重要視されていく中で、日本のプレゼンスはまだまだ低いのが現状です。入りやすい食から始めて、日本文化を知ってもらうきっかけを作り、日本に来る動機付けを作れたらいいなと考えています。将来的にはピザから和食まで広げて、日本の文化を広めるハブになりたいと思っています。

(レストランを支えるスタッフのみんなと早苗さん)

欧米進出への戦略拠点と人・モノの交流促進

賴髙
4P’sを通じて、CJFにとってもインド市場での最初の成功事例になるようにお二人のチャレンジを応援していきます。
次に、日本でも虎ノ門に逆輸入で出店される狙いを教えてください。

益子
将来欧米にも進出していくための前哨戦として、日本できちんとワークする方法を確立させたいという狙いです。もう一つは、人材の交流です。現在社員数は2800人ですが、優秀なベトナム人には日本店で経験を積む機会を作ります。また最近は日本人も採用していて、経験を積んでもらったのち諸外国のカントリーダイレクターに登用したいと考えており、そのための採用の入り口になれば、と考えています。
加えて、物の交流にもメリットがあります。日本店のプロジェクトを機に、日本各地の面白いプロダクトを探しています。今でもベトナムに日本酒など日本の産品を輸入していますが、日本店の運営を通して、日本の農産物や食材を外に出したり、外から日本に持ってきたり、物の交流を増やしていきたいと思っています。

早苗
ベトナムの社員にも優れた人材が多くいますので、日本店で働くキャリアパスを作ります。ベトナムだけでなく、カンボジアやインドのチームにとっても、今後日本での自分たちのキャリアパスや将来プランを考えられるのはメリットです。
また、日本にはこだわりや情熱を持つ生産者が沢山いらっしゃいます。少子高齢化や事業承継の問題、SDGsの取り組みなど、それぞれの課題解決のために、志高くやられている方々に沢山お会いしました。そういう生産者の皆さんに関わっていただき、メニューに使うすべてのものにある背景のストーリーを伝えていきます。日本店のコンセプトは「Oneness(ワンネス)」。誰もがそれぞれに関わり合って「地球の一部」になっている、と感じられるような空間を作ります。4P’sを通じてお客様に気づきのきっかけを提供し、感謝の気持ちやコンパッション、共感が溢れる店舗を目指しています。今は店舗数を増やして横に広げるよりも、深さを突き詰めて、4P’sのビジョンを体現するシンボリックな店舗を作りたいです。そこから改めて日本の良さをより多くの人に知ってほしいと願っています。

(東京店のイメージパース)

賴髙
日本で展開する難しさはありますか。

益子
日本で提供されるピザのクオリティは世界一だと思います。その中での競争に勝ち残っていくこと、それが何より難しいことだと思います。


賴髙
今回の日本進出を、4P’sのグローバル経営に必要なエコシステムを構築するための戦略拠点と位置付けていることが理解できました。
さて、ピザ以外で、今後日本に関連した事業構想や夢はお持ちでしょうか。

益子
日本食にはチャレンジしてみたいと考えています。例えばインドでは、韓国人のお店で中華や和食も提供する店は結構あります。日本のプレゼンスがもう少し上がっていけば、ピュアな日本食を認識し受け入れるポテンシャルは十分にあると思います。インドにはベジタリアンが多く、お米の文化もあります。日本食との親和性はもともとある国だと思います。
それに付随して人材育成にも関心があります。現地採用の人たちに寮を提供して、4P’sで働きながら我々のコアバリューを身に着けてもらい、例えば大手ホテルにも採用されるような人材を育成して、そこからグローバルでも活躍できるような人が育っていったらいいなと考えています。外から日本へ、また日本からグローバルへ向けて、人材育成にも取り組んでいきたいと思っています。


人や自然と繋がっていることを感じられる4P’sの島

賴髙
サステナブルな島を作りたいというお話をお聞きしました。具体的な構想やイメージはありますでしょうか。

益子
自分が自然の中の一部と感じられること、人や自然と繋がって感じる幸福感、ウェルビーイングや幸せを体感できる場を作りたいという夢があります。それを日本で実現できたらいいなと強く思うようになってきました。自然と一体になった4P’sの島で世界の人たちに幸せを感じてもらうのが将来の夢です。刀さんが進めている沖縄プロジェクトと連携できたらうれしいですね!


賴髙
日本のインバウンドを活性化させることは我々にとっても大きなミッションの一つです。今日の夢のお話の続きを楽しみにしております。
さて、4P’sあるいはお二人は、CJFに対してどんな期待をして我々を株主として受け入れていただいたのでしょうか。

益子
将来の日本にどこか危うさを感じていて、日本の将来のために貢献したいという思いがありました。株主にきちんとリターンを戻すことは我々の義務ですが、4P’sはお金がすべてという経営を目指しているわけではありません。そういう意味で、政府系のファンドに株主として入っていただくことで、日本への貢献に繋がる可能性があると思いました。CJFが株主なら、回り回って、 最終的に日本国民のためにもなると考えました。我々が毎日頑張っていく価値があると思えたからです。

賴髙
CJFは収益性を重視しつつも、日本の経済を活性化する政策性にも重点を置いています。特に海外展開されている日本人創業のベンチャーを応援するのはCJFのミッションだと捉えています。

益子
もう一つの理由は、政府系ファンドの信頼性です。今回インド出店のために現地の不動産会社と交渉した際、CJFが株主だったおかげで、彼らは安心して信用してくれました。
日本の強さの本質は、過去から現在でも続いているクレディビリティだと思います。海外にいると、このアセットがかなり大きいことを実感します。レストランなどBtoCでは、日本人が経営しているから、オペレーションや食材面等でお客さんから信頼してもらえる大きなメリットがあると思います。


賴髙
4P’sの更なる成長のために、CJFに期待するサポートがありましたら教えてください。

益子
今もすでにサポートいただいていますが、日本から海外に出していける食材探しを手伝ってほしいです。
次に、横の繋がりを広げるための、CJFのポートフォリオ間の情報共有です。ポートフォリオ企業の代表が一堂に会して話し合ったり、ワークショップをしたり、お互いのバリューアップをできる機会を作ってほしいと思います。
そして、日本の政策の方向性を教えてほしいです。例えば輸出促進のための施策や補助制度の情報があれば、4P’sの事業との連携ができるかもしれません。政策の大きな流れに沿った方がうまくいくこともあります。まず情報を把握して、ビジネスの判断に役立てていきたいと思います。

早苗
CJFのポートフォリオ間の繋がりにはとても興味があります。業種が多岐にわたるので難しいかもしれませんが、私は採用や人材育成の観点から、各社のHRディレクターが集まって、人材情報、人材マーケットの情報、育成方法をシェアできる機会があれば、実務的なベネフィットになってありがたいと思います。


賴髙
ありがとうございます。お二人のお話から良いヒントをいただきました。官民ファンド間のネットワークやそこからの情報共有、また、ポートフォリオ間のシナジー作りは、我々の役割です。ぜひ色々なトライを一緒にさせてください。
さて、日本政府は今、ベンチャー育成、ユニコーン創出のための様々な政策に取り組んでいます。一方でグローバル市場へのチャレンジはまだまだハードルが高いように感じています。日本から海外に踏み出そうとするベンチャー、あるいは若い世代に向けて、メッセージをいただけますでしょうか。

早苗
4P’sでスタッフの募集をかけると、ハングリー精神旺盛な若者が集まります。言語の問題もあるかもしれませんが、外に出てみれば、自分の見方が変わる良い機会になると思います。日本のベンチャーにしても、同年代の海外のベンチャーが描いている世界観の設定を知ることで、グローバルな視点から客観的に見るきっかけになるでしょう。まずは飛び出してみることが一番大切ではないでしょうか。

益子
日本の経済を伸ばすために海外に進出するのも確かに必要なことだとは思います。しかし日本にいても満足できて、自己肯定ができるなら、日本に留まっても良いですし、幸せを探しにポジティブに楽しむくらいの気持ちで海外に挑戦してみても良いと思います。 海外に出ることの醍醐味は、日本とは違う価値観に触れて、多様な価値観の中で勝負できることです。ビジネスだけでなく人間の幅も広げてくれる絶好の機会になります。僕たちのやり方が正解とは限りませんが、誰かのロールモデルになり、海外で起業する人が増えたらうれしいなと思います。

賴髙
不安や失敗というネガティブ面が先立って、ポジティブ面に目がいかない、なかなか一歩を踏み出せない日本的な背景があるかもしれません。お二人の幸せを感じ取ろうとする素直な衝動の中に、日本のベンチャーにとっても大切なヒントがあると思いました。

益子
海外にいてもCJFへの批判やネガティブな発信をSNSなどで目にすることがあります。どんなものにもポジティブな面とネガティブな面があります。CJFの一面を捉えたネガティブな発信も否定はしませんが、日本の良いものをもっと世界に出していこう、という大切でポジティブなメッセージも受け取ってほしいです。僕らはCJFの業績回復に貢献できるように、これからも気概を持って頑張っていきます。

賴髙
我々の業績に起因する批判は真摯に受けとめています。お二人のように日本をコンセプトにしたビジネスを海外で展開する方々のためにリスクを取ることは、CJFの重要なミッションです。世の中にも理解が広がるように丁寧に説明していくことが重要だと思っています。今日はお二人から大変心強いエールをいただきました。4P’sが成功することは、我々の投資のあり方を示すことにもなります。我々も全力でサポートしていきたいと改めて思いました。ありがとうございました。


(終わり)

聞き手 賴髙画也(よりたかかくや)プロフィール

1994年3月 一橋大学 卒業 
1994年4月 株式会社電通入社 
2007年6月 MITスローン経営大学院卒業(MBA) 
2007年8月 A.T. カーニー株式会社 コンサルタント 
2014年5月 株式会社海外需要開拓支援機構入社 
2018年10月 投資戦略グループ マネージング
ディレクター 兼 投資連携・促進グループ統括部長 
2021年 6月 常務執行役員 兼 最高投資責任者/CIO 
(現任)

一覧ページに戻る